製品名: BUILD.耐診<統合版>Ver.7; BUILD.耐診<統合版>Ver.6; BUILD.耐診<統合版>Ver.5 項目1: 計算方法 項目2: 第2種構造要素
タイトル:周辺部材を考慮した第2種構造要素の判定の際に検討柱が負担する梁の伝達せん断力の算出方法
Q.
周辺部材を考慮した第2種構造要素の判定の際に、検討柱に伝達する上階の梁からのせん断力の算出方法を
「片持ち梁扱いとして算出する」場合について、「通常の両端固定として算出する」場合との違いを教えて下さい。
A.
「BUILD.耐診」において、周辺部材を考慮した第2種構造要素の判定の際に柱に伝達する梁のせん断力を片持ち梁扱いとして算出する考え方は、
検討時に梁に接続している柱が軸崩壊していた場合に崩壊した柱による梁の曲げ戻しが期待できない場合があるという考え方よりきています。
参考としまして、「学校施設の耐震補強マニュアル(2003年)」のP252の計算例には片持ち梁扱いとする同様の内容が示されています。
以下で具体的に示しますと、建物に作用する地震荷重時の曲げモーメントは
通常の両端固定とした場合の図1の状況において検討柱が崩壊した場合、図2に至る形になりますが、
このとき第2種構造要素の判定の際に図2の赤丸内の節点で柱の曲げ戻しを期待しないとし、
梁の片方の端部のモーメントを0とする手法(図4で例示)をとることにより周辺柱の負担可能軸力が控えめの評価となり、
安全側の処理となります。

以下に、梁の片方の端部のモーメントを0とする手法につきまして解説します。
(以降の図では、柱のモーメント図は省略しています。)
・両端固定の梁と片持ち梁扱いの場合の比較例
下記の両端固定の梁とし柱の曲げ戻しを期待して扱う図3の場合のQb1よりも、、
片持ち梁扱いとし柱の曲げ戻しを期待しないで梁の片方の端部のモーメントをゼロとして扱う図4の場合のQb1の方が
⊿Mの減少により伝達せん断力Qb1が小さくなりますので安全側の評価になります。
周辺柱の負担可能軸力Nc'は次のようにQb1により制限されます。
Nc'=min{ΣQb1,ΣNc}

・片持ち梁扱いの場合の柱の袖壁などによる剛域とQb1
片持ち梁扱いとした場合で柱に取り付く袖壁などによる剛域がある場合、「BUILD.耐診」では図6で示すように
その剛域端のモーメントを0として計算されたQb1を第2種構造要素の判定に用いています。
上記の処理により、図5のように袖壁の外側に反曲点がある限りは、
やはり⊿Mの減少により伝達せん断力Qb1が小さくなりますので安全側の評価になります。

ただし、実際は袖壁の内側に反曲点がくる図7のような場合のQb1は、
剛域端のモーメントを0とした図8のQb1より小さくなり安全側の評価とならない場合もありますので、
このような場合、「BUILD.耐診」においてはデータ識別名[SHN2]によるQb1の直接入力などで対応していただく形になります。

|